2021年9月29日に自民党総裁選挙が行われ、岸田文雄前政調会長が自民党新総裁に選出されました。そこで選挙結果がどうだったのか、また、今後、岸田新総裁がどのようなことを行うのかについて解説していきたいと思います。
自民党総裁選の選挙結果について
自民党総裁選挙は国会議員票382票と党員票382票の合わせて764票の投票により、過半数を超えた候補者がいればその方が当選しますが、過半数を超えた候補者がいなければ上位2名による決選投票を行って総裁を選出するという形で行われます。詳しくは別の記事で解説していますので、よければ参考にしてください。
さて、1回目の投票の結果は次のとおりでした。
候補者 | 国会議員票 | 党員票 | 計 |
河野 太郎 | 86票 | 169票 | 255票 |
岸田 文雄 | 146票 | 110票 | 256票 |
高市 早苗 | 114票 | 74票 | 188票 |
野田 聖子 | 34票 | 29票 | 63票 |
計 | 380票 | 382票 | 762票 |
1票差で岸田氏がトップでしたが、過半数には届かなかったため、上位2名の岸田氏、河野氏による決選投票が行われました。その結果は次の通りです。
候補者 | 国会議員票 | 党員票 | 計 |
河野 太郎 | 131票 | 39票 | 170票 |
岸田 文雄 | 249票 | 8票 | 257票 |
計 | 380票 | 47票 | 427票 |
これにより岸田氏が自民党総裁に選出されるという結果になりました。
世論調査でトップだった河野氏はなぜ選出されなかったの?
世論調査では河野氏支持が約5割、岸田氏、高市氏が2割ずつで野田氏が1割といった感じでした。ニュースなどでも河野氏優勢の雰囲気がずっと続いていましたが、選挙の1、2日前くらいから決戦投票で岸田氏が当選するのでは、というニュースもよく目にしました。
その大きな理由として挙げられるのは、決選投票になったときに岸田氏、高市氏が協力すると決めたことだと思います。決戦投票になった場合、河野氏が残るのは確定として、もう1人は岸田氏と高市氏のどちらかになるの可能性がほぼ100%であったため、岸田氏と高市氏が手を組み、それぞれの候補者を支持する国会議員が決戦投票では河野氏ではなく残ったどちらかの候補に投票することで合意したのです。
もともと党員票は河野氏が多く獲得できるけれども、国会議員票は割れると予想されており、決戦投票までもつれ込むだろうと言われていました。1回目の投票と決戦投票で大きく違うところは党員票の扱いです。決戦投票では党員票は各都道府県に1票ずつの47票しか与えられません。(国会議員票は変わらず382票です。)ということは1回目では国会議員票と同じ影響力があったのが8分の1ほどに減ってしまい、その分国会議員票の影響力が高まります。
その国会議員票を固めることができた岸田氏が最終的に総裁に選出されることとなったのです。1回目の投票と決戦投票では国会議員票が103票増えていますが、このほとんどは1回目に高市氏に投票した114票が流れてきたものと思われます。
ニュースなどでは、1回目の投票では河野氏がトップになり、決戦投票で岸田氏が逆転するという見方でしたが、結果を見ると1回目の投票でも岸田氏がトップとなっていますので、岸田氏の見事な勝利と言えるのではないでしょうか。
これから岸田新総裁がやることは?
今後の予定としては次の通りです。
10月 1日 自民党役員選出
10月 4日 臨時国会で内閣総理大臣に選出
10月4〜5日 閣僚人事の発表
10月21日 衆議院の任期満了
11月中 衆議院選挙
岸田氏はまだ自民党のトップである総裁になっただけですので、これから10月4日の臨時国会で内閣総理大臣指名選挙が行われます。そこで内閣総理大臣に選出されて、正式に新しい総理大臣となるのです。(詳しくは上でリンクを貼った記事を参考にしてください。)
総理大臣の正式決定に前後して、岸田新総裁がまず行うのは、自民党内の役員人事と閣僚人事です。自民党内の役員と言えば、ナンバー2の幹事長、他には政調会長や総務会長など様々なものがありますし、閣僚人事では官房長官や各大臣などポストがありますので、どのポストに誰を起用するのかという人事を決めなければいけません。
今の自民党の役員や大臣などの閣僚人事は菅総理大臣が自分の仕事がしやすいように選んだメンバーです。岸田新総裁は総裁選で訴えていた政策などをこれから実現していくために、どのようなメンバーがよいかを考え、決めていくのです。
ここで注目されるのは、今回の総裁選で争った他の候補者3名をどこかのポストで起用するのかどうかです。基本的には政策や考え方が違うために総裁選を争うことになったのですから、重要なポストに起用したくないというのが正直なところだと思います。
しかし、それで他の候補者を冷遇していまうと、同じ党内なのに分裂しているような印象を与えかねません。また、今回の河野氏のように人気がある人をどこのポストにも起用しないと国民から批判される恐れがありますし、近いうちに行われる衆議院選挙にも影響が出るかもしれません。
総裁選後のコメントで「選挙が終わったらノーサイド、全員野球で一丸となる」といった発言をしていますし、選挙中には自分が総裁になったら他の候補者を閣僚などに起用するとも言っていました。ちなみにノーサイドとはラグビーの試合終了のことで、試合が終わったら敵と味方の区別はないという意味です。
高市氏は今回の総裁選で協力していますので、重要なポストでの起用が予想されますが、河野氏がどのようなポストで起用されるのかについて個人的には注目しています。
閣僚人事が決まったらいよいよ岸田新総裁の掲げた政策を進めて行く!と言いたいところですが、すぐ11月には衆議院選挙が迫っていますので、しばらくは選挙モードになってしまい、本格的な始動は衆議院選挙が終わってからになるでしょう。
まとめ
今回の総裁選により新たに岸田総裁が誕生しました。これからどのような政治を行っていくか注目したいと思いますが、本格的な政治運営の取り掛かる前に一大イベントである衆議院選挙が迫っています。菅内閣の支持率が下がっていることもあり、最近の様々な地方選では自民党が支援する候補者の落選が続いていますので、衆議院選挙でどのような結果になるのかにより岸田新総裁の手腕が問われると思います。
選挙まで短い期間しかないですが、衆議院選挙の結果を占う上で重要なことが2つあると僕は思っています。1つ目は閣僚人事です。国民がこの人たちなら期待できると思わせるようなメンバーを選ぶことが重要です。サプライズ人事として民間人を起用するのもアリだと思います。(ちなみに大臣の半分以上は国会議員でなくてはいけませんが、民間人でも大臣に起用することができます。)
もう1つは国民が岸田新総裁に期待できるような政策を打ち出すことです。特に新型コロナウイルスの影響もまだまだ大きく、先行きが不透明なため、岸田新総裁は年内にも数十兆円規模の経済対策を行うとしてます。これについて国民が期待できるような魅力的なものを打ち出せるかが鍵になるのではないでしょうか。
いずれにしても新しい総裁が誕生し、総理大臣が変わることとなりますので、これからの日本がよりよいものになってもらいたいと思います。
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